花色日記

ゲームや女性向けシチュエーションCDの感想ブログ ネタバレ注意です

マッドマックス 怒りのデス・ロード 感想

いつも通りのネタバレ感想なので未視聴の方は注意です。

 

◆視聴理由

怪盗グルーシリーズの感想時に視聴理由でもちょっと書きましたが、

0086ad.hatenablog.com

私は全然映画を見るほうではなく、というかぶっちゃけ映画がかなり苦手です。

  1. まず長時間じっと画面を見つめていられない。飽きる。
  2. 登場人物の顔と名前を覚えられない。
  3. 映画特有の効果音は大きいのに人物の喋ってる声が小さい音響に慣れない。セリフが聞きとれない。
  4. 頭の回転が良くないので、状況を整理しながら見てる間に置いていかれてしまう。
  5. すぐ寝てしまう。

などが理由なのですが、それ小さい子なら許されるんですけど、いい大人がこんな理由で映画苦手とか正直恥ずかしいし、今まで結構コンプレックスでした。それでなくても映画ってなんか高尚な趣味って感じがして、実際映画の感想ブログとか読んでも、みんなすごく博識で意識高くって、映画鑑賞が趣味とか憧れるけど自分には無理だなって諦めていたんですけど。

最近ちょっと気づいたんですが、それって自分のどうしようもない部分(発達障害が疑われる症状があるので、ここでそこにツッコむと話がそれるから許して)はいったん置いといて、本当に面白い映画をあまり見てこなかったからっていうのも理由のひとつなんじゃないかなと思ったんです。よくウニを嫌いな人がウニ好きな人に「それ、自分ホンマにおいしいウニ食べたことがないからやで」って言われるやつ。でも確かに学生時代、クソ映画を結構な頻度で引き当てていた心当たりがちょっとある。こんなに映画が苦手な私でも、B級ホラー映画にハマってた時期がありまして…。

というわけで、本当に面白い映画を見れば私も少しは映画嫌いを克服できるんじゃないかと思い、世間で「これは誰が見ても絶対面白い!」と評価されている映画を積極的に見ていこうと思います。やっぱりどんな分野にも初心者向けっていうのはあると思うし、初心者はそこから地道に始めるべきだとも思う。

まずは映画好きの知人からおすすめされた「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を見ました。もちろん、過去作未視聴です。前知識は何ひとつない。

 

◆感想

やっぱかっこいいババアが出てくる作品は面白くないわけがないんだなあ

おわり

 

でもよく考えたら邦画だけど「デンデラ」は面白いかって言われたら……なので、ちゃんと書きます。ちなみに「デンデラ」に関しては、ユヤタンが好きなので原作読んでたから映画も見ただけの人間なのであしからず。

 

・上記の映画が苦手な理由のひとつである「登場人物の顔と名前を覚えられない」が「んなもん別に覚えなくてもいいんだよ!!!それより楽しめよ!!!!」って感じの映画だったので全然苦なく最後まで見れました。

特にこの「登場人物の顔と名前を覚えられない」っていうのが、私が映画序盤ですでに見るのが嫌になって寝てしまう致命的な問題だったので、もう初っぱなから何もかもがどうでも良くなるくらいめちゃくちゃな世界でめちゃくちゃな人達がめちゃくちゃヒャッハーなことをしていてくれたのは「あっ、これそういうのをオイオイって苦笑いしながら楽しむ映画なのかも…頭使わなくていいのかも…」とふっと肩の荷が下りました。

そもそも映画が苦手なのでそんなこと意識したことがなかったのですが、気楽にアクションだけを楽しめばいいという点では、アクション映画って自分にとって見やすいジャンルなのかもしれません。逆に恋愛映画を見るのは本当に難しい。

登場人物が全員特徴的で個性ある見た目をしていてくれていたのも、覚えやすくてありがたかったです。

 

 ・また「映画特有の、効果音がでかくて人物の喋ってる声が小さい音響に慣れない。セリフが聞きとれない」も、セリフが普通の映画に比べてかなり少なめの映画だったのも幸いして、問題ありませんでした。

いつも自宅で映画を見るときは、セリフが聞きとれなくても大丈夫なように吹き替えを流しながら字幕も表示するという方法をとっているのですが、字幕なくてもいけそうだった。

それでもセリフが少ないながらも、主人公マックスの吹き替えのクオリティが初っぱなから「おっとこれは…ヤバいぞ…」と思っていたら、やっぱり本職の方ではなかったのでそういう意味では字幕ありでよかったかな…。

 

・ストーリー自体は「敵から逃げながら理想の土地を目指す」というすごく王道でわかりやすい話だったのも、最後まで飽きることなく見れた理由のひとつですね。

霧の中でマックスがたったひとりで敵を壊滅させたところとか、いや見せろよと思ったけど普通に省かれてたし、そういう余計なものはいらん!みたいな豪快なスタンスだったのも、逆にこっちも細かいところを気にせず見れたのでよかった。細かいツッコミどころを探そうと思えば探せるんだけど、そういうのを指摘するのはこの映画の前ではひたすら野暮って感じがします。

「理想の土地を目指す」っていうのは結構目的としてはファンタジーなので、そんなもの存在しないんだろうな…と思いながら見ていて、その通りの展開だったのですが、元の砦に戻るとは思ってなかったので、そこは素直にはぇ~~~と思いました。

でも考えてみたらこれも、理想を求めて別の土地を目指したけど結局自分がいた場所が一番理想の土地だった。という超超王道展開でしたね。

なんだかんだで元砦の人間は、5人の美女もフュリオサもウォーボーイもみんな熱に浮かされている感じだったので、全然砦と関係ない上におそらく何度も絶望を味わっているマックスの提案は、無茶ではありつつも宛もなく進むよりはやっぱり地に足が着いていてるな~と思いました。

 

・あと、マックスとフュリオサが全然恋愛関係ではなかったのも、個人的にはかなり好きなポイントでした。もともと相棒関係の男女が好みっていうのもありますが、映画においては単純に恋愛要素が入ってくると、途端に頭使わなければいけなくなって難しいから…。

恋愛どころか、友情関係ですらない。でもちゃんとお互いの信頼関係が成り立っていたのが良いです。輸血袋扱いだったマックスが、自分からフュリオサに輸血するシーンはやっぱりグッときました。名前も教えて、このクライマックスでちゃんと重要な伏線を2つも回収するっていうのが、やっぱり本当にちゃんと面白い映画なんだなって。

最後歓喜する人々の中、英雄として高く上げられていくフュリオサと雑踏の中にゆっくり消えていくマックスの最後も、お互い交わることなく別れていくのが2人にとって自然な感じがして好きです。

 

・あとは5人の美女の描写がなんかすごく好きでした。役に立たないどころか余計なことするし世間知らずだし考え方は甘いし、もうどう考えてもお荷物で見てると普通にイライラするんですけど。

でも初めてマックスが5人を見た時のシーン、なんていうか時が止まった感じがして見てるこっちも呼吸が止まるっていうか…。ただただ、ああ…美しいなって感じました。

そういう描写のされ方があの5人に関してはたびたびあって、そのたびにふっと心が落ちる感じがするんです。きっと美しい女性っていうのは、もしかしたらただそこにいるだけで人々に何かを与えるようなそんな存在なのかもしれないと、なんとなく見ていて思いました。食べられもしないしなんの役にも立たない、でもそれが存在しているだけで少し心が安らぐっていうのは、なんだか花に近い感じがします。

私自身も女性で、しかもゴリゴリの百合厨なので、どうしてもフェミニスト寄りな思考になってしまい、ちょっと神聖化し過ぎているかもしれません。でもかたちは変えつつも、今でもディズニープリンセスたちがずっと廃れないのは、やっぱり美しいお姫様って必要なくても必要な存在なのかなって思います。老若男女問わず誰にとっても。

 

◆総評

と言うわけで、やっぱり面白い映画は面白いという感じでした。映画好きな人が見たらブチギレそうな結論。

がっつりアクション映画を見たのは何年ぶりかな?って感じだったので、本当に素直に楽しいな~と思って見れました。やっぱり私は、あまり深く考えなければいけない映画より、こういう頭を空っぽにして見れる映画のほうが向いているのかもしれません。

本とかゲームとか自分のペースで楽しめるものだと、SFとかミステリーとか好きなんですけど、恋愛映画すら難しい自分にはそのあたりの映画に手を出すにはまだまだ修行が足りなさそう。

 

とりあえずアクション系を中心にわかりやすくて面白い映画を、また知人にいくつか聞いて少しずつ見ていこうかなと思っています。

 


 

 

クーロンズ・ゲート(九龍風水傳) 感想

今年の3月くらいから暇を見つけては少しずつプレイしていたクーロンズ・ゲートの感想です。

数年前ドロヘドロスレを覗いていた時「作者の林田先生がまた魔剣のときみたいにゲームのコミカライズをしてくれるならどのゲームがいいか語ろうぜ」という趣旨の書きこみで、クーロンズ・ゲートがほぼ満場一致でスレ住民に推されていたのがプレイしようと思ったきっかけです。改めて書くとなんじゃそりゃ…?という経緯ですが、私はドロヘドロを信仰レベルで愛しているのでご理解いただきたい。

 

いつもの通り攻略情報は一切ありません。感想のみですのでご了承ください。

ちなみに書籍関連には一切手を出していないので、その辺の情報を含めるとおかしなことを書いているかもしれません。

 

◆ゲームシステム

ある程度購入前に調べていた通り、ゲームバランスはおかしいです。嘘です。ゲームバランスおかしいです。

基本的な進め方は探索パート→ダンジョンパートを繰り返していく感じです。このタイプは緩急があって個人的には好きなシステムなんです…が、まず探索パートは、ゲームを進めるフラグを立てるのがすごく難しい。いや、お前がフラグやったんかい!みたいなモブ中のモブとの会話が次のフェイズへ進むフラグであることが多く、私のような要領の悪い人間は、攻略サイト様を利用しなければ確実に積んでいたと思います。

そしてダンジョンパートはめちゃくちゃ迷う。改めて後述しますが、特に2つ目のダンジョンで迷いに迷った挙句、よくわからないまま隠しキャラに遭遇して、もう発狂しそうでした。攻略サイトを見ながらでもこの有様ってどうかしてる、本当に。

 

ただこのゲームはダンジョンでのバトルがすごく画期的で、そこは非常に評価したいです。

ゲームの属性って基本、西洋に合わせての4大エレメントに+辺りが多いんですけど、クーロンズ・ゲートは属性が東洋の陰陽五行ベースなんですよね。水で相克状態を狙って戦うゲームなんて、めったにないんじゃないでしょうか。

私は占いでもなんでも西洋よりも東洋のほうが好きなので良かったのですが、西洋系を元にしたゲームに慣れていれば慣れているほど、この辺りはとっつきにくいのではないかと思います。ポケモンですら、土よりも水が強く陰陽五行とは矢印が逆ですし。初見だと木属性の鬼律(グイリー)に火を使っちゃう人とかすごく多そう。

 

レベルシステムがないので、常に一定の強さを保った敵が出てくるのですが、それも気を抜くとやられてしまう緊張感があって良かったです。序盤はかなり死にましたが、終盤になるとむしろバトルに慣れてきて、楽に敵を倒せるようになっていました。主人公の成長は感じられない分、自分の成長を感じられます。

だからこそダンジョンバトルに比べてアイテムバトルがしょっぱすぎる…。アイテムバトルっていわゆるボス戦なのに、普通にプレイしていると得られる情報が少なすぎて、攻略を見なければ使うアイテムがほとんどわかりません。でも逆に攻略を見てしまうと一撃で倒せてしまうので、ボス戦のわりには全く緊張感がなくなるという、ひどいバランス。

ただ、この年代くらいのゲームって、他のゲームも大体こんな感じの難易度だったような気がします。攻略本なしじゃ絶対無理なんだけど、子供だからそれすらもよく読まないし、頭脳もテクニックも足りないしで結局クリアできずじまいのゲームの数々を思い出しました。何度も言いますが、攻略サイト様がなかったら絶対に私はクリアできなかったので本当に感謝です。

 

ちなみにクーロンズ・ゲートは非常に酔いやすい画面移動だとよく聞きますが、私は全く酔うことはなかったです。普段はめちゃくちゃ酔いやすく、FPSゲームをプレイする時は本当に苦労するのですが、恐らくクーロンズ・ゲートは小さいPSPの画面でプレイしていたから酔わなかったのではないかと思います。これ、大画面だと確かにちょっとキツいかもしれません。

 

◆陰界

いつもならここで主要人物ごとに感想を入れたりするんですけど、このゲームはそこがメインなわけじゃないよなあ…と悩んだ結果、陰界の各街ごとの感想にすることにしました。それもこのゲームのメインだとは言い切れないんですけど、個人的にはこっちのほうがしっくりくるかな~と思います。

 

・龍城路(リュウジョウロ)

なんだかんだで一番好きです。やべーところに来てしまった感はあるものの、基本落ち着いてる街だしBGMも好き。

一番最初の街だったので戻ってくる度にリスポーン地点というか、実家のような安心感があった。ので、龍城路の半分が消えた時は自分でも驚くくらい動揺しました。このゲーム、クライマックスになるに連れて主要人物どんどん消えていくんですけど、それを真っ先に痛感しましたね。でもなんというか悲しい寂しいと言うよりも「ああこれが一期一会ってやつか…でも人生って本来そんなもんなんだよな…」となんとなく受け入れることができてしまうのもこのゲームの謎。

結構どの人物も好きなのですが、特に海老剥き屋の子供とぜんまい屋が好きでした。ぜんまい屋はこんな狂ったところですごい普通の人って感じで逆に素性が気になる。海老剥き屋の子供はあれ何歳なんですかね…?あの達観具合は仙人か何か?

ちなみにクーロンズ・ゲートで一番好きなBGMは、ここの胡同(フートン)の庇利路(バイレイロード)のBGMです。うう~ん中華~って感じがしてすごく好き。

 

・九龍フロント(クーロンフロント)

クーロンという名前からも察する通り、クーロンズ・ゲートのいわゆるメインの街で、一番長く滞在したと思うんですけど、いつまでたっても慣れないし、あまり長くいたくはない街でした。どの街もクソ治安悪そうなのは変わらないんですけど、それでも他の町に比べると、どこの路地を歩いていても誰かに見られているような気がして落ち着かないのはこの街だけでした。その演出は恐らく製作側の意図だと思われるので、そこがすごい。

ありとあらゆる要素をむちゃくちゃに包括していて、ほんの少し路地を歩けば一瞬で街の雰囲気がガラッと変わっていくのが不思議な感じでした。

人が多い街なだけあって好きな人物は多かったです。案内屋の前にいた2人組の路人が好きだったのに、わりと早い段階で洗脳されてほぼ妄人(ワンニン)になってしまって残念でした。「見張ってなんかないさ」の人。

あとはリッチとゲームキッズが好きだったのですが、二人ともどうにもならん状況になってしまってこれまた残念。茸売りはひょうひょうと生きている感じで台詞も好きでしたが、終盤果たして大丈夫だったんだろうか…。

 

・龍津路(リュウシンロ)

ここの道具屋が言っていた通り、比較的善良な人が多い街だなと感じました。確かにいなくなった小黒(シャオヘイ)だけではなく、超よそ者の主人公のことまでみんな心配してくれていたように思います。理由は「ここは芸術の街だから」とのこと。なるほど。

天堂劇場(ティントンシアター)は2つ目の胡同ですが、1つめの重慶花園(チョンキンガーデン)の時に比べてダンジョン探索が一気に面倒くさくなって発狂しそうでした。でかいし迷うしBGM淡々としてるし。後に4つ目の胡同の維多利亜大廈(ビクトリアマンション)が大きいわりには意外と迷わなかったことから、このゲームでの迷いやすさは、いかに小さい部屋が多いか否かだと言うことに気がつきました。

小部屋がたくさんあればあるほど、自分が今いる位置と通ってきたルートが把握しやすいのですが、大部屋ばかりだとすごく把握しづらい。維多利亜大廈はマンションの名の通り小部屋ばかりでしたが、天堂劇場はこれまた劇場の名の通り大部屋ばかりだったのでこんなにも迷ってしまったのではないかと思います。本当、案内役がハニー・レディみたいな色気たっぷりのお姉さんじゃなかったらモチベーションは保てなかったと思う。

プロマイド屋がどの娘に興味があるかしきりに聞いてくる上に、こっちの話はほとんど聞かず踊り子の過去の話ばかり勝手に語ってくるのが、なんかリアルでもこういう人いるよな~って言い知れぬ恐怖を感じました。

 

清朝(シンチョウ)

なんかバック・トゥ・ザ・フューチャーみたいなノリでタイムスリップさせられると思ったら、かなりオマージュされてたんですね。声優さんどころか、BGMまで合わせていたらしくびっくりしました。そしてこのBGM、TV見てると結構使われてたりして二度びっくり。

まさかタイムスリップするとは…それも清の時代までさかのぼるなんて、とんでも設定だなあ…と最初は思っていたのですが、もうここまできたらなんでもあり過ぎて全然受け入れられます。むしろ、清時代の建物や雰囲気まで堪能できてやったーという感じ。本来の時代がギラギラした装飾が多い街だからこそ、少し色あせたセピアの空や建物が物悲しい雰囲気で、これもまたいいよなあと思います。

 

・西城路(サイジョウロ)

現在この街にまともに行く手段がないという閉ざされた街なのに、川があるおかげなのかなんとなく開放感を感じる。でも水は多分汚い。

虫屋とか貝殻屋とか蛇屋とか、なんか今の時代でいうところのサブカルおしゃれっぽい(偏見)店が多いな~と感じました。特に貝殻屋ってロマンティックでいいな。でもなぜかナチュラルにモルグがある。

正直本当にマジでどこの街にも住みたくはないんですけど、もしクーロンズ・ゲートの街のどれかひとつに住まなければならなくなったとしたら、自分はここを選ぶかな。なんとなく好みなだけであまり理由はないんですけど。

住民の主人公に対する友好度は良くもなく悪くもなくって感じですが、ベトナム人のグエンが街の住民に受け入れられてるのを見ると、そこまで治安が悪い街でもなさそう。

ちなみにここの胡同の気海も難易度的には別に易しくもなく難しくもなくって感じでしたが、キャプテン号の話は声優さんの語り口が落ち着いてるせいか、思わずどれも聞き入ってしまいました。

 

・大井路(オオイロ)

リアルで考えると一番行きたくない街。医療系の街なのに衛生面が非常に悪そうなところが生理的嫌悪を催します。もちろん、褒めてます。

住人達もめちゃくちゃ非協力的なわけではないですが、それでも全然優しくないし。敵側のお膝元の街だからというのもあるのでしょうか、なんか他の町より陰鬱としてるのは患者が多そうな雰囲気だからかな?

この町をホラーっぽくしようという意図は製作側になさそうなのに、オルゴール屋から闇鍋屋をはじめとする店のラインナップから妖精さんに至るまで何もかもがおぞましいので、やっぱり医療ってホラーと相性いいんだなあと思いました。「痛みに効くのはオルゴール」という思考が、わかるけどわからない。一番狂っている街だと思います。

龍津路で記述した通り維多利亜大廈は、広いけれど思ったほどしんどくはなかったです。ここまでくると流石に慣れてきたのもあるでしょうが…。案内役のバンブージーが維多利亜大廈のことを熟知している理由が、昔自分が建築に携わっていたからというのがちょっと物悲しい。ハニー・レディも昔の劇場のほうが好きだったと言っていましたが、自分にとって思い入れのある場所が廃れてダンジョン化していて、その案内をあろうことが自分がしているって考えるとちょっとクるものがありますね。

 

・上海(シャンハイ)

まさかの二度目のタイムスリップ。調べたら主人公は1850年の清、1920年の上海、1997年の香港と三つの時代を行き来したことになるみたいなんですけど、どれも選ぶ年代としてバランスがいいなと感じます。

そして清の時に比べると全体的な鮮やかさは増えているんですけど、それでも香港に比べるとまだまだ寂しく、なんというか終わってしまった場所というか過ぎ去ってしまった場所感が常に漂っているのがとても好きです。本当に過去に来たんだな。

昔サンリオタイムネットというクソゲームがありまして、当時子供だった私は死ぬほどプレイしたんですけど、その過去編をプレイしている時に近い感じがありました。今サンリオタイムネットの話をしてもどうしようもないので、この辺でやめときますけど、私その影響で時間の流れを感じるゲームが今もすごく好きなんですよね。

それはさておき、打って変わって宮殿内はとんでもないことになっていて、ここ多分このゲームをプレイしていて一番びっくりしたところかもしれません。エッシャーのだまし絵をまさかゲームのダンジョン内で見ることができるとは…。

完全ノータッチでしたが、ここにきて季弘(リー・ホン)が重要人物であることが判明し、しかも言ってることがやっぱり物悲しくて心に残りました。ここで香港に戻ってもヤバいですけど、多分ここにいたってどっちにしろヤバいだろうに。

 

・妄人路(ワンニンロ)

最後のダンジョン。まずとにかくBGMが好きです。どいつもこいつも冷静に見るとやべーことになってるのに、それでもなんか深刻に感じないのはこのBGMのせいもあると思います。このBGMも、よくTVで使われてたりしますよね。死んだと思ってた張魯(チャン・リン)兄弟が妄人になってたのは良いのか悪いのか…。そもそも、なんでこいつら生きてるんだろうって思って調べたら、タイムスリップから現代に帰ってくる時、本来の時刻の少し前に戻ったせいで未来が変わっちゃったんですね。気付かなかった~。

妄人の中では、携帯電話男の狂い方が妙なリアル感あって一番好きです。あと、ここの端末男の端末を使用した時の演出も、クライマックス感あって好きでした。

個人的には妄人路を抜けた先の妄人中心がすごく好みな雰囲気だったので、この時の一瞬だけしか行けない場所なのがもったいねーと思いました。もっとよく探索したかった。

 

◆ストーリー

これストーリー語る意味あるかな…?そういうゲームじゃないよね?続編ある前提の話なのにそれも頓挫してるし…とは思いますが一応。

 

主人公は陰界にて四神獣の見立てをするのが目的、というのは真っ先に提示されるのですが、その肝心の四神獣の見立てって何?どうやったらいいの?そういうアイテムを探すゲームかな?と思っていたら、まさかの選ばれた人間をそのまま四神獣にするという人柱の話でもうドン引きですよ?

しかも自分の人柱の運命を受け入れている人と全然受け入れられてない人の差が激しい上に、普通に人柱になるのに抵抗してた人も、なんやかんやで結局人柱になっちゃうので本当ドン引き。

 

そしてプレイしていてびっくりするほど誰の命も救えない。ギリギリ主人公が救えたのって最初の鏡屋とグエンくらいだった気がする。

そもそも主人公の目的はただの点検&調整みたいなものだし、戦うのが目的ではないので、こちらから敵に攻撃をしかける機会がほぼない。基本、相手の意図を阻止するために動くので、その分後手後手って感じで全然爽快感を得られない。そして敵も敵でそんなに上手いこと立ち回ってるかと言われればそうでもないのに、なぜかみんな死ぬ。敵味方含めてみんな死ぬ。

まあ、こういうゲームってヒロインさえ助かればそれでいいんだよ的なところはあるけど、ヒロインすら人柱で最終的に死ぬし。なんでヒロインどころか小鳥の一匹さえ救えないんだよ!

 

でも演出として決めるところはしっかり決めてくるのは、本当にすごいなと思います。最終バトルの前にオープニング曲が初めて作中で流れて、ゴゴゴゴゴって周囲の建物とかがとんでもない状況になったところに、バーンってラスボスが出てくるのなんて、もう最高に熱かったし思わずうおおおおおって叫んでしまったほど。

そこに至るまでの終盤の流れもまさにクライマックスって感じの怒涛の展開で良かったし、終盤より少し前に老人中心を爆竹で吹っ飛ばした時なんかはやったぜ。って感じで素直にテンション上がって気持ち良さもあり、同時に犠牲になった扉男に対する切なさもありって感じで、ここのシーンもすごく好きでした。

 

ラスボスも話通じないタイプではなく、むしろずっと主人公に痛メール送り続けてきたところがなんか人間ぽくて、で挙句の果てには最終的に「君は私の生まれ変わりじゃないかと思う」とか言い出すのがうわー…(ドン引き)って感じで好きです。でも終盤の妄人パンデミックを見てると、確かに主人公があまりにもなんともなさ過ぎるのが逆に怖くて、ラスボスと表裏一体の存在と言われても正直わからんではない…と思いました。この状況でなぜ生きている…!?

 

今の、主人公が独りでぶらぶらしてるゲームシステムも十分好きなのですが、終盤に玄機(シャン・ジー)と行動することになってからは、こいつ解説役としてめちゃくちゃ優秀だったので、序盤から玄機を主人公のパートナーポジにおいてたら次に取るべき行動とかわかりやすくなって、もう少し難易度が低くなったのでは…と思います。ただしコミカル成分が増える分、今の陰鬱とした雰囲気は少なくなってしまうでしょうが…。

 

ラストの、ヒロインが小黒から暁梅(シャオメイ)に切り替わったのも個人的にはめちゃくちゃ好きな展開なのですが、それ故に続編が流れてしまったのが悔やまれます。陽界は知らんけど陰界はあれ復興不可能なのではないか…?

 

◆総評

非常に人を選ぶゲームで、でも好きな人は熱狂的に好きになる系のゲームって、やっぱりハマるかハマれないかが私もはっきり分かれるんですが、このゲームはまあ事前に調べた時からそうなるだろうなと思っていたけどめちゃくちゃ好きです。今までプレイした好きなゲームの5本指に入るくらい、好きになってしまいました。

でも全然他人に薦められないです。当たり前だよなぁ?人に薦められないからこそ、とりあえずここで自分のこのゲームに対する熱い想いをいったんぶちまけとこうと思って書き始めたら、やっぱりクソ長い記事になってしまいました。

 

雰囲気も人物造形も、残酷なのかなんなのかよくわからないストーリーも全部好きなのですが、特にどこが一番好きかと言われると人物同士の淡々とした会話かなと思います。

このゲーム結構いろいろ行ったりやったりしてるけど恐らく全部たった1日ちょっとの出来事だし、1日で誰かと親睦を深めようもないし、実際みんな主人公と全然親しくない。にもかかわらず「よう、俺だよ」とか「あんた、いよいよだね。しっかりやるんだよ」とかなぜか知ったふうな口で話しかけられることが多く、それが妙に心地良いのが不思議で、でもとても好きでした。このわけのわからん独特の距離感って、なかなか味わえない気がします。

 

雰囲気と言えば最初にきっかけとして挙げたドロヘドロとの類似点ですが、中華な雰囲気やファンタジーな世界観、グロ要素に惜しげもなく狂ったキャラ(性格も造形も含めて)が出てくるのはもう言わずもがなって感じなんですけど。

さらに個人的には、小黒があんな露出度高い格好で色んなところをうろうろしていても、命に関する心配は聞いても性的なことに関する心配は誰もしていないところが気になりました。いや15禁なんでそりゃ過激な性描写は入れられないんですけど、でも少しくらい直接的な暴行までいかなくてもこう…におわす発言とかあるだろ?小黒かわいいしスタイルいいしヒロインやぞ?と思うんですけどびっくりするほどない。

ただ、男女関係なく生命の危機は非常に感じる。ものすごく感じる。もう性的なこととか感じる間もなく、老若男女問わず常に命の危機が迫ってる。しかも死ぬとしたら無駄に残酷に死ぬ可能性が高い。勘弁して。

実際みんな嘘みたいに死ぬんだけど、貞操の危機はあまり感じないところが個人的にかなりドロヘドロとの親和性を感じたところでした。

 


 

ARTDINK BEST CHOICE クーロンズ・ゲート-九龍風水傅-

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SEVENTH HEAVEN vol.5 シオン 感想

SEVENTH HEAVEN

思いっ切りネタバレ前提の感想です。また18禁ではないものの、性的な内容の含まれるCD(は?)ですのでご注意ください。

 

ついにRejet系CDのレビューです。が、先にこのブログのRejetに対する姿勢を明記しておきます。

ぶっちゃけ「嫌いじゃないけど全然好きじゃないよ」です。

購入するのをやめるほど関心がないわけではないし、むしろ新作が出ると、なぜか嬉々としてチェックしてしまうところがある。

でも作品の8割方は全く自分の好みと合わず…いやというか倫理観が合わずに、不愉快な思いをすることが多々あり、なんというか愛蔵渦巻く非常に複雑な想いを抱いているので、他の記事に比べてRejet系のCDの感想はかなり辛口になってしまうと思われます。

上の注意書きの「18禁ではないものの、性的な内容の含まれるCD」っていうのも、なんかギリギリのところを攻めているのが、きちんと正規の手順を踏んで18禁をたしなんでいる淑女(自称)としては普通に腹が立ちます。たまにどう聞いても激しくヤッてる時があるんで、ちょっとはゾーニングしてくだされ。

ただ、容易にRejetをディスりたいとか、Rejetを好きで楽しんでいらっしゃる方を批判する意図は全くありません。アンチでもないのに、こういうよくわからない楽しみ方をしている変なやつもいる、ということをご理解いただけますと幸いです。

 

◆購入理由

Rejetのサイトって、キャラ紹介にそのキャラの特徴的な単語がずらずら羅列してあることが多いのですが、大体ドSか俺様かヤンデレのどれかの単語が入っててなんかもうドSのバーゲンセールにもほどがあるし、そのキャラと別のキャラがどう違うドSなのかが全然わからないし、まあつまりはサンプル視聴必須なんですけど、1から順に視聴したところ、この5番目のキャラのあまりのDQNっぷりにドン引きして購入しました

まあ、今考えると怖いもの見たさというやつだったのかもしれません。Rejetはホラーコンテンツか何か?

 

◆感想

DQNの観察記録CD

と考えると、とてつもなくクオリティが高いと思います。声優さんの演技もそうなんですけど、あーDQNの人ってこういう喋り方するよねーというのが全面に出ていてすごいです。凄み方とかやじり方とか、女性をいかに脅迫するかの一点に力が注がれています。男性向けのNTR系のエロ漫画で、こういうDQNがよく彼女寝取ってくるよね。NTR地雷なんで最悪。

「退屈だからヒロインで遊ぶ」と言った次の瞬間の発言が「誰がお前なんかで遊ぶか」だったりするのがね、もうね、聞いてて頭がおかしくなる。言ってることが秒で変わるのヤバいでしょ普通に。

自分が仲間相手に犯したいたずら(私物破損系が多く正直いたずらでは済ませられない)を、ヒロインがしたことにして罪をなすり付けようとするのもヤバい。隙あらば肉体関係に持ち込もうとするのも、その場のノリですぐどうでもよくなるのもヤバい。

そしてそれら全ての言動が、一切ためらうことなく完璧にスムーズに遂行されているのがヤバい。普通ちょっとはちゅうちょするだろ、人の心があればな。犯罪を平気で犯す側の人間の思考や行動として、かなりリアルなほうなんじゃないかと思います。

まあこれだけ書いておいて、このCDの本来のコンセプトがDQNの観察記録ではないという点が一番ヤバいんですけど。

 

・本来の女性向けシチュエーションCDとして

あのですねえ…ここまでガチ犯罪者レベルの言動のキャラに萌えろって言われても普通に無理ですがな。

正直言って彼が小学生ぐらいの年齢だったとしても、ギリ許容できるか悩むレベルの言動ですよ、これ。人としてやってはいけないポイントが多すぎる。

一応そりゃそういうCDですから~?後半はわりと「いや、こんな性格だけどいいところもあるよ」なエピソードがたびたび挟まってくるんですけど、その程度で前半のヤバさが補えるわけねーだろ!!どう甘く見積もっても、全然清算できないんですわ。

そもそもですね、私は精神年齢が低めの男性キャラが好きで俺様系あさってるところがあるんですよ。だけどいくら精神年齢小学生でも、最低限の倫理観は必要だと思うんです。対人間である以上。Rejetは、マジで、それが、ない。

 

・ヒロイン側の違和感

じゃあヒロイン側にはなんの問題もないのかと言われると…うーん…。そりゃこのどうしようもない状況だと、か弱い女性がひとりでどうにかできるかって考えたら無理なんですけど。それでももう少し…もう少しなんとかならんかったのか…?と思ってしまうんですよね…。

通して聞いていて、あまりヒロインの性格がわからないのも、そう感じた要因のひとつなのかも知れません。 真面目で気の弱いタイプなのかな?と思えば、一緒に海に行った時は結構やんちゃにやり返してる感じがするし、ちょっと考えたらそれ普通は言わないほうが良いやつなんじゃ…みたいなことを平気で言ったりもする(これはわりとRejetヒロインあるあるです)ので、なんかどういう人柄なのかがつかめない。

特に私自身は、ありがたいことに希死念慮が少ないほうなので、自己投影して聞くのは少し難しい設定ですし(そもそもシチュエーションCD自体、自己投影しながら聞くタイプではないのですが)

ヒロインの前提からして難しい設定であるのは承知の上で購入したので、だからこそもうちょっとヒロインに関して深く描写してくれたほうが、自己投影はできなくても感情移入はできたかもしれないのにな~と思います。共感はできなくでも、ヒロインの抱えてる悲しみや辛さに同情したかった。結局、こういった悲しい設定のヒロインに対して、最初から最後まで、理解しようとしても理解できなかったのはとても残念です。

 

・シリーズの設定に関して

…と、ここまで結構ゴリゴリに批判しておいて何を今更な話なんですけど、購入理由に書いた通り、これ一応シリーズものにもかかわらず、私は5番目のCDから聞くというアレな聞き方をしちゃってるんですよね。

なので、シオンを含めた死神に関しての設定が全く分からないまま聞いている。ヒロインは自殺しようとしていた時にシオンに会ってるのに、なんか途中からヒロインはもう死んでて幽霊的な扱いになっててよくわからない。魂を成仏させる設定も、なんかよくわからない。その他、細かいところもいろいろ聞いててわからんところがめちゃくちゃある。

と言うわけでこのCDの設定全てが??????状態なんですけど、多分これは私がシリーズの途中から聞いてるせいなんですね。1番目のキャラとかがそのCD内で詳しく説明してくれてるんだと思います、多分。だから全体を通して聞けば、的外れな批判をしている可能性が大いにあります。そこは本当に申し訳ない。

ただ、だからこそこのシリーズ全部買って聞いていらっしゃる方もたくさんいる中で、他のCDの登場キャラたちをディスるシーン入れる必要ある?って思うんですよね。いたずら(何度も言うけどいたずらで済ませられない)のシーンなんですけど。

私は全員知らないキャラながらも、シオンに勝手に部屋を荒らされているシーンを聞いていてかわいそうだと思ったし、普通に不快でした。こんなんマジで全部シリーズ追ってるファンへの嫌がらせでは…?仮に自分の推しがいたとしたら、何で自分の推しの部屋が別のキャラに馬鹿にされながら荒らされるのを聞かされないといけないの?って思いますし。少しでも好きなキャラの私生活とか交友関係が垣間見れたら嬉しいやろ?という雑なファンサービスなんでしょうか?知らんけど。

 

・良かった点、というか擁護点

シオンの自殺に関する考え方が「自殺する奴は絶対に悪い」という気持ちと「でも人や状況によっては救いでもある」という気持ちの両者を、自分の中でうまく受け入れることができず、結果ヒロインと自分への苛立ちになってしまっている感じは人間味があっていいなと思いました。まあその苛立ちが、もう少しヒロインにもわかりやすく、もうちょっと控えめだったら、こんなに酷評しなくても良かったんですけど。

自殺が良いか悪いかって本当に難しい問題なので、あまりにもどちらかの価値観に偏って描写されると多分もやもやしてしまいますし、その点は上手なあんばいだったと思います。

そういう、良かったところをもうちょっと全体的に掘り下げてくれていれば…と思うのですが、このCDどうもRejetのシチュエーションCDの中ではかなり初期の作品みたいで、まあ容量的な問題はあったんじゃないかなと思います。今では、大体どれも二枚組みでガッツリ長編ですもんね。

あと歌に関しては、私こういう声優さんの歌がメインのCDに全く詳しくないのであまり言及したくないのですが、素直に良い曲だと思います。ただ、歌入りCDガチ素人としては、どういう気持ちで聞けば良いのかさっぱりわからなかったので、歌入りのシチュエーションCDを今後買うことはもうないかな~。

 

◆総評

男性側はクズクズ&クズだし女性側はちょっと何考えてるのかよくわからないし、そもそも前提がヒロイン自殺から始まってるしなんか救いもないしで、まあただただ胸糞悪いCD。この一言に尽きるんですけど、なんかたまに聞きたくなる時がある、私のRejet作品全般に対する評価が大体そんな感じですね。

でも実はRejet作品を実際に聞くまで、Rejetってもっとヒロインに対する暴行と強姦がナチュラルにはびこっている世紀末という印象だったので、ここまでヤバい連呼しながらも一番最初に聞いたRejet作品にしては、あれ普通に聞けなくも…ない…?いけるやん!と思いました。

その後、他のRejet作品にも少しずつ手を出し…その結果3個目に購入したCDで見事に地獄を見る羽目になるんですけどね。

 

 

SEEC系アプリ感想 その1(アリスの精神裁判 四ツ目神 監獄少年)

SEEC社の、特に石倉さんの手がける作品が以前から気になっていたので、これを機会に一気に全部ダウンロードしてプレイしました。「誰ソ彼ホテル」は現在プレイ中なので、終わったら新たに別の記事で書こうと思います。「ネバーランドシンドローム」は乙女ゲーなので、ちょっとシリーズ的に別枠かな~という気がしたので、プレイするかどうかは現在保留中。

全てネタバレありです。また攻略情報は一切ありません。感想のみですのでご了承ください。

 


 

◆アリスの精神裁判

・イラストが非常に好みだったのと、アリスモチーフの作品が好きだったのでプレイしました。昨今アリス×ホラーと言えばもうベタ中のベタという感じですが、あえてその王道を崩すことなく最後まで貫き通していて非常に好感が持てます。

キャラデザやキャラ同士の会話も、いい感じにアリス風味でよかったです。 特に個人的には双子が1番原作のアリスらしい雰囲気で好きです。年齢的にはショタではないのでしょうけれど、こういった人を煙に巻くタイプのいたずらっ子系ショタが、私は大好きなのである。チェシャ猫のキャラデザも、女の子らしいかわいらしさを保ちながらも雰囲気に合っていて非常に好みでした。

 

・いろんなところを調べた際のコメントが細かいところまで凝っていて、ゲームの使用上移動するたびに体力がなくなるのはわかっていても、ついたくさん歩き回ってしまう魅力がありました。世界観がかなり細かいところまで作りこまれているんだなと感じます。

物語の要所要所で病んでしまったうさぎが突然登場する系のホラー要素は、歪みの国のアリスを彷彿とさせますね。白うさぎの設定も少し似てるかな。こちらはプレイしたのは十年くらい前なのですが、あの白うさぎのホラー感は今でも記憶に残っています。

 

・ゲームのシステムは典型的な逆転裁判系ですね。これは昔、逆裁をプレイした時もそうだったのですが、トリックの難易度が低めに設定されてるせいで結構早い段階で誰が犯人なのかとか、どの証拠が怪しいとかがある程度わかってしまうんです。が、 大きな答えはわかるけど、そこに行き着くまでに提示する細かい情報がどれかわからない。という現状にたびたび悩まされました。

一度「こいつのここがおかしい!犯人や!」と最終地点が目に入ってしまうと、それに気をとられて余計に段階を踏めなくなってしまう…。そういう意味では比較的やり応えのある難易度でした。

 

・エンディングについて

あれだけの裁判を起こして自分の罪を自分自身で裁くことがテーマだったにしては、正直あっさりした終わり方だったと思います。 アリスの罪に対して、自分で自分を責めること以外の罰がなかったので、結局なんだかんだで新しい友達とそれなりに仲良くやってる感じに見えてしまって、ちょっともったいないなと感じました。

例えば「あれから警察に全てを話したアリスは、自分に対してあらぬ噂も立てられたけど、いつしかみんなの記憶から事件のことは忘れ去られていった…」的なところからエンディングのチェシャ猫とのやりとりに入ったら、最後のアリスの決意と相まって受ける雰囲気が全然違ったのにな~と思うんですよね。

 

・うーん…あとこれは書くか少し悩んだので後で消すかもしれませんが、私はこの作品に限らず「いじめられてる友達を何もできずに見捨ててしまって後悔している系主人公」の設定があんまり好きではないんですよね。これは本当に個人的な問題です。

いじめはいじめてる側だけじゃなく、見て見ぬ振りをした人間も裁かれるべきなのかどうか、といった難しい理由ではありません。

単純にこの手の設定の主人公が増えすぎて食傷気味なのと、いじめを行っていた側を主人公にするとよっぽどうまく描写しないと批判を受けてしまう…かと言っていじめられていた側ほど重い設定も難しい…でも心に少し何かを抱えた主人公にしたい!みたいな時に、安易に使われる都合の良さを感じて苦手なんです。この設定を使うと、いじめられていた友人との和解イベントや、いじめていた側に立ち向かっていく主人公の成長イベント、両方書けるぜラッキーみたいな。いやもう、とんでもなひねくれた見方なのは自分でも重々承知しているのですが…。

この作品のアリスは、本当にそのテーマが物語の肝だったので安易に使われたわけではないのはわかっているのですが、わくわくしながらプレイを進めていって物語の全貌がわかってきた時に、あーこれ系か…とちょっとがっかりしてしまったのが正直な感想です。

  アリスの精神裁判

アリスの精神裁判
開発元:SEEC Inc.
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◆四ツ目神 全エンディング、全カード習得 特別ストーリー課金済み

・アリスの精神裁判とは違ってひたすら脱出ゲーム。 普段脱出ゲームをプレイすることが少ないのと、謎解き要素はゲーム内のヒントだけでは解けないような、ひらめきが必要なものもあって結構難しかったです。私には広告視聴からの攻略サイト必須でした。

 

・キャラのイラストが相変わらず綺麗でかわいいです。特に私はキャラの見た目が少し実年齢より幼い絵柄が好きなので、石倉さんの絵はかなり好みど真ん中です。前回のアリスの精神裁判が洋風ホラー×学園×友達の話だったのに対して、今回は和風ホラー×神社×家族とガラッとテイストが変わっているにもかかわらず、特に違和感を感じさせないところは引き出しの多さを感じました。

 

・エンディングはバッドエンドからトゥルーエンドに至るまでどれも非常に好きです。バッドエンドは大体の民俗系ホラーのよくある言いつけを守らない、タブーを犯してしまったが故のバッド展開の基本をきっちり押さえていて気持ちがいいです。バッドなのに。

またホラーゲーム特有の「ハッピーエンドでも全ての人が幸せになれるわけではない」というちょっとビターなエンドが、これまたどのハッピーエンドでもきちんと描写されています。叔父さんエンドだと主人公の他の家族は亡くなったままですし、逆に本当の家族エンドだと叔父さんとは家族になれない。

個人的には叔父さんとの家族エンドが好きですが、そう言えばアリスのほうの感想も一緒に書いていて、ふと歪アリにもこんなやさぐれた叔父さんいた上に叔父さんエンドもあったなあと思い出しました。当時かなり影響のあった携帯ホラーゲームだったので、ここまでくるともしかしたら製作者さんもある程度ご存知だったりするのかもしれませんね。

 

・こういう和風というか民族系ホラー慣れしてると、ちょっと話の全体像がわかりやす過ぎるかなーと感じます。

アリスの時よりもシナリオが倍以上増えているのに、最初の物語の全体像がわからないままプレイしていたアリスに比べて、こちらは三分の一くらいプレイした時点で本来の神社の役割とか主人公と登場人物の関係とか、話の大まかな流れがある程度予想できてしまいました。 特に「イミゴ」という名前はあまりにもわかりやす過ぎて、彼が名乗った瞬間もう双子の忌み子系の話ってわかってしまうのがもったいなかったです。

と思っていたら、製作者さんも名前のわかりやすさについてはだいぶ危惧されていたようで…。うーん、やっぱりスマホゲームという時点で、コンシューマーゲームをプレイする層よりも更にライトな層をターゲットにしないといけないのだとは思いますが…。忌み子物って有名どころだと、少し古いですがひぐらしとかでも結構詳しく取り扱われていたような覚えがあるし、他の部分が全体的にかなり良かったせいもあって、やっぱりちょっともったいないという印象が残りました。

 

・逆に全く予想できなかったのはラスボスです。ラスボスはもう絶対次男だろうと思っていたし、実際なんらかの制裁はあるのではと思っていたのでびっくりしました。でも追加ストーリーを見ると、むしろこのままゆるやかな終焉を迎えるほうがひと思いに消えることのできたラスボスよりキツイかもなあと思います。

個人的にはラスボスが消えて、クロくんとシロちゃんも消えたのかが少し気になります。多分神社自体が消えたので一緒に消えたんだろうなとは思いますが…子供だったのもあってちょっと救われるところが見たかったのはあります。 

 

四ツ目神 【謎解きノベル×脱出ゲーム】
 
四ツ目神 【謎解きノベル×脱出ゲーム】
開発元:SEEC Inc.
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◆監獄少年 全エンディング、全カード習得 特別ストーリー課金済み

・ひたすら脱出ゲームだった前作「四ツ目神」からうって変わって、今度はまた「アリスの精神裁判」のような脱出ゲーム+裁判ゲームに戻りました。私はやっぱり脱出ゲーム一辺倒よりもこれくらいのバランスが好きです。謎解き要素も、そろそろ私がこういうタイプのゲームに慣れてきたのもあるのかもしれませんが、比較的詰まるところが少なくなり難易度的にもスムーズに進められました。

ストーリーの進めやすさや課金要素も、今までで一番納得できるバランスだったと思います。むしろ今までがちょっと良心的すぎたと思うので…。またプレイし終わったらこちらもまとめますが、次作の「誰ソ彼ホテル」は正直かなり厳しい課金バランスなので、総合すると「監獄少年」のシステムが一番良かったな~と思います。

 

・やっぱりキャラのイラストが安定していて美しいです。そして相変わらずかわいい。

ただ題材に関しては本当に私の好みの問題で申し訳ありませんが、メインの舞台が男性寮的な場所になるとBL要素がうっすらと出てくる可能性が、今までの経験上非常に高いので、BLだけは唯一苦手な自分にはちょっと厳しいかもしれない…と覚悟していました。

実際は、もちろん大っぴらにそんな要素はなかったのですが(そういうゲームじゃないので当たり前)今考えると軽いブロマンスではあったかもしれません。序盤はやっぱり男の子同士のやりとりにあまり興味が持てず、プレイにも時間がかかっていました。

 

・…が、3章辺りから急激に面白くなってきてびっくりしました。もう「BLだったらどうしよ~」とかそんな気持ちは全部どうでもよくなっていて、素直にストーリーにのめり込むほど面白かったです。前2作に比べるとかなりハードな設定だったのも、好みだったのかもしれません。その設定も、当時の文化についてとても詳しく調べて作られていたと思います。

だからこそ、ここまで時代背景について徹底して練られたストーリーなのに、たびたびどう考えても現代っぽい単語が入ってくるのが気になりました。特に「バディ」

私は歴史も言語についても全く詳しくないので迂闊なことは言えないのですが、「バディ」って単語はそんな大正時代からすでに使われていたのかな…?軍でそういうシステム自体はあったのかもしれないけど、普通に「相棒」とかせめて「コンビ」とかで良かったんじゃないかなと思うんですけど、でもこのあたり本当に詳しくないのであまり言及するのはやめときます。

ただ「バディ」以外にもえっ?と引っかかる言葉はいくつかありました。本当にちゃんと当時の言葉を使用している場面(しかも丁寧な解説付き)が多かった分、余計に気になるしちょっともったいないなという感じでした。

あっ、脱出ゲームで使用するアイテムとかパズルが現代すぎるとかはさすがにツッコミません。いくらなんでもそこまで当時の文化に合わせるのは大変すぎるし、パズルに当時の知識が必要になると難易度も激上がりするし、しゃーない。

 

・エンディングはトゥルーエンドでもかなり切ない感じ。これは時代背景的に覚悟していたので仕方がないものの、やっぱりちょっとプレイし終わって物悲しい気持ちにはなりました。でも本当に美しいラストだと思います。

バッドエンドも、どれも本来のエンドに少しずつかみ合っている感じが良いのですが、唯一ふたつくらいあった充先輩に殺されるエンドだけが私の中で謎のままです。この人そんなに病んでたっけ?他にヤバイ人がいくらでもいるのであまり怪しいとも思わず、初っぱなから信頼maxで進めていた自分にとっては、バッド回収した時になぜ殺されるのかよくわからなかった。

だってこういう飄々とした不真面目女好き遊び人を装ってるタイプって、最終的に絶対主人公たちの世話焼き保護者ポジションに落ち着くもん。知ってる。

 

・ただキャラの話をするなら、どうしても草間さんだけはいくらなんでも…いくらなんでもかわいそうすぎる…!この人やっとメインで出てきたと思ったら一瞬で死んでしまった。あんまりだ。

…と思っていたら個別ストーリーで生きてたーーー!良かったーーー!容姿は草間さんが一番好きなので素直に嬉しかったです。いつも困った顔しててかわいそかわいかった。

逆に最初は全然好みじゃなかったし、普段もこういうタイプにハマることは少ないものの、大和は自分でも思いもよらず好きになってしまいました。ストーリーの後半からが本当かわいいんだよなあ。 

 

 謎解きノベル×脱出ゲーム 監獄少年

 謎解きノベル×脱出ゲーム 監獄少年
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◆総評

ここまで3作プレイして感じたのは、石倉さんのゲームはとにかくストーリーとイラストが非常に安定しているということです。どの作品もプレイして良かったと思います。それもシリーズを追うごとに、いいところはそのままに新しい要素をどんどん取り入れてよりパワーアップしたゲームになっているのが素晴らしいです。

特に「四ツ目神」と「アリスの精神裁判」では、キャラについてそこまで深く語ろうとは思いませんでしたが、「監獄少年」はキャラの魅力が急激にぐっと増したように感じました。ただ、キャラの大まかな設定自体は、既に前2作からも十分魅力的で引きつけられる要素があったと思います。ポテンシャルとしてはそれこそ二次創作界隈での人気がもっと出てもおかしくないレベルでした。

にもかかわらず「監獄少年」に比べると少し弱い気がしたのは、製作側が次作に向けて努力した結果ももちろんあるとは思いますが、一番は容量の問題だったのではないでしょうか。

「監獄少年」は前2作に比べストーリーのボリュームが圧倒的に増えた分、キャラの描写もより深いところまでできるようになったのだとしたら、はっきり言って前2作がもったいないです。非常に実力のある方だと思うので、容量の問題で長い話や凝ったゲームにはできず、しかも至るところで課金要素を無理にでも入れなければならないスマホゲームでは正直役不足なのでは…。

大げさかもしれませんが、ここまでのキャラ、ストーリー、イラストを生み出せる方ならスマホーゲーム以外のメディアで作品を追いたい気持ちが大きいです。私はこの方の書くもっと長い物語が見てみたい。

いやそんな簡単な話じゃないし、勝手過ぎるファンのぼやきなのは本当に承知していますが、例えばもしも石倉さんがこれから先いきなり作品の場を同人ゲームやコンシューマーゲームなどの、手軽に遊べない場所に移されたとしても、私は構わず応援し続けたいです。 

 

怪盗グルーシリーズ 感想その2

思いっきりネタバレ感想なので未視聴の方は注意です。

視聴理由は前回の記事↓ で書いたので割愛。

0086ad.hatenablog.com

 

ミニオンズ スピンオフ

・遂にミニオンたちがメインのスピンオフ映画です。しかしこの映画「ミニオンズ」というタイトルにもかかわらず、「怪盗グルーシリーズを見たことがないけどちょっとミニオンが気になるな~」くらいのミニオン初心者(まさにかつての私)には全くオススメできません。

と言うのも最初にぶっちゃけますが、私この映画を去年地上波で放送していた時リアルタイムで見ようとしたのですが、途中で挫折しています。開始15分で寝てしまいました。

 

・なぜなのか?という点をいくつか挙げますと、まずスピンオフまできても、やっぱりミニオンが何者なのかよくわからないというところです。一応、最初に軽くこれまでのミニオンの歴史みたいなのは語られますが、そもそもミニオンが動いているところを見るのすら初めての人間にとってはミニオンたちは太古の昔から地球上に存在していた…?うーんなんのこっちゃ」と、いきなりすごく物語に入りづらい。

さらにミニオンたちが終始ミニオン語で喋るのも、初心者には視聴が厳しい要因だと思います。今までのシリーズを追っていると、ある程度何喋ってるのかがわかってくるのですが、何喋ってるかわからない場合はサイレントムービーを観るときのような頭の使い方をしなければならないので、これがなかなかしんどい。かる~く観たかっただけなのに変に頭を使わされる。

 

・というわけで初心者にはあまりオススメできないのなら、じゃあ今までのシリーズファンは楽しめるのかというと、私自身はそれほど楽しめませんでした。

確かにミニオンはかわいいです。ただ私の好きなミニオンって、ドジでおバカでお調子者で、食べ物とか娯楽にめちゃくちゃ卑しくて、自分のことしか考えてなくて自分の利益のためなら平気で仲間を貶めるし、自分の保身のためなら平気で仲間を売る畜生…なところだったんです。はたから見ればとんでもない暴言ですが国内外問わず結構子供向けアニメのキャラってそういうタイプ多い気がしますし、私はそういう小さくてかわいいキャラが倫理観の欠片もない行動をとるのがギャップを感じで好きなんですよね。

それが今回はメインの3人中ケビンとボブが2人とも比較的仲間思いのいい子で、ミニオンの中でもかなり善良寄りの性格だったのが物足りなさの原因でした。違う…私の求めてるミニオンはこんな自分の身をていして仲間を助けるようなやつらじゃない…というわけで私はスチュアートが一番好きです。

とは言っても、やっぱり映画のクライマックスではそりゃそういうシーンを作らないと駄目でしょうし、いくらミニオンでも主人公ポジションなのに盛り上がってる場面で平気で仲間見捨てて逃げたら流石にえぇ…(ドン引き)となるでしょうし、やっぱり私はあくまでもグルーの脇役ポジションでしっちゃかめっちゃかしてるミニオンたちが好きなんでしょうね。

そういえば、グルーは結構大人になってからミニオンたちに出会ったのだと勝手に思っていたので、そりゃもうあんな性格ではさぞ鬱屈とした子供時代を独りむなしく送ったのだろうと思っていたら、今回ミニオンたちとは子供時代からの付き合いであることが発覚し、そこは素直にほっとしました。よかったね!

 

・あとミニオンの描写に関しての不満がもうひとつだけ。私がミニオンについて非常にいいなと評価している点は「個の能力は低いけれど、いざ一つの目的に向かいまとまったときには統制のとれた群の強さを発揮する」ところです。例えば1作目のクライマックスでグルーとマーゴが落下するシーンで、咄嗟にミニオンたちが数珠繋ぎになって助けるわけですが、そういうベタだけど普段一人では弱いのにいざって時に数と連帯感でピンチを切り抜けるシーンってすごくわくわくして好きなんですよね。

でも今回はそういうシーンがほとんどなかった。メインを3人に絞ってるから仕方ないし、実際それは映画としても正しかったと思うのですが、最後にみんな一気に登場したんだから、ちょっとくらいはミニオンの群としての見せ場をなんとか用意できなかったんだろうか…。結局巨大化したケビンが一人で全て解決してしまったので拍子抜けしました。お前らなんのために出てきたんや…。

あとミニオンって不死身な存在だと思っているので、彼らのピンチな場面でも特に盛り上がれなかったんですけど、まあさすがにいい大人がそういうところにツッコむのは、やぼな気がします。

 

・そして前回の記事で絶賛していた、ターゲット層を子供・大衆へとしっかり定めて作られていた点が、なぜか今回ぶれぶれになっていてそれも残念でした。ミニオンがひたすらわーわーするノリはかなり子供向けなのに、何故か過剰なイギリスいじりとか、これ大人どころか結構なおっさんおばさんにしかわからんよなみたいなネタを突っ込んでくる。これは子供だけじゃなく、一緒に見る両親も楽しめるようにみたいな配慮ですかね?かつての妖怪ウォッチのアニメ的な。私はあまりそういうのは求めていませんでした。

でもこれは子供には少し難しいと思うのですが、今回の敵であるスカーレットの設定に関しては非常に好きです。なんていうか、今まで1作目も2作目も敵側にあまり深い過去はないって感じでしたが、スカーレットはかなりリアルなところを突いてきたな~って思います。だって悪党達の頂点に君臨して、強さも地位も金も名声も美貌も恋人も持っていて、もう十分すぎるくらい成功しているのですが、本人は貧乏でいじめられていた幼い頃に夢見た王女の王冠にずっと執着してるわけです。病的なまでに。

見てて普通に切ないです。最後のほうなんて、ぼろぼろなのにもはや意地だけで動いていて、もういいよもうやめなよって感じ。人間の際限のない欲深さと一言で切り捨てるには、全てを手に入れても彼女の過去のトラウマが全く癒えていないところがあまりにも哀れですし、私にだってまあそういった自分にとってこれさえあれば幸せになれるんだと執着するものがないわけではないです。

あとこれちょっと書くか悩みましたが、吹き替えの天海祐希さんの演技が凄まじかった。めちゃくちゃ申し訳ないのですが、吹き替えのグルーとルーシーに関しては中の人自身は好きでもやっぱりアニメ的な演技に関しては…正直厳しい…と思いながら視聴していたのですが、今回そういうのが本当に一切なかった。元宝塚女優のガチ悪役演技はやっぱり素晴らしかったです。

 


 

怪盗グルーのミニオン大脱走 3作目

・怪盗グルーシリーズ3作目です。まず前回の記事でグルーとルーシーに関しては、恋愛だけではなく家族という存在になるところまで持っていったところが好きだったのですが、反面そんな若い女性がいきなり三児の母になっていろいろ大丈夫なんだろうか…という懸念は正直ありました。

そこがだいぶ描写されていた3作目だったと思います。ルーシータイプ(陽キャ)とマーゴタイプ(陰キャ)の組み合わせは、まあそりゃ最初はそんな関係になるだろうなというところから、ちゃんと信頼関係を築くところまで描かれていました。 リアルでもマーゴみたいなタイプの人って、あまり自分と合わないな~好ましくないな~と思っていた人が自分にはできないことをあっさりやってのけたり、自分のピンチを助けてくれたりすると、今までの感情が嘘のように一気に落ちるタイプだよな~と勝手に思ってます。高速手のひら返し。そこが妙にリアルだった。

 

・グルーについては1の時との印象が大幅に変わりました。もちろん、これはグルーの成長ストーリーなので、性格的に丸くなったとか、より父親らしくなったとかは絶対あるのですが、私が気になったのはそこよりも悪党の才能に関してです。

1を視聴した時点では、グルーって悪党の中でもあまり才能がなく、自分より若い年下に出し抜かれ、うだつの上がらない日々を過ごす落ちこぼれという印象でした。だからこそ、1で月泥棒に成功したのは見ていて気持ちが良かったですし、三姉妹の存在によって失敗続きの落ちこぼれから、肉体的にも精神的にも強くなったところが強調されていて良かったと思います。

しかし今回悪党について全くド素人のドルーが出てきたおかげで、相対的にグルーの悪党の才能株が上がる上がる。父親の設定が出てきたことから、なんと由緒正しい悪党の血筋だったことも判明。ジャンプの主人公かな?

その辺りのとんでも後付設定のオンパレードは、まあ主人公にはある程度の才能は必要やし…と割り切ろうとしても、1の頃の印象からなかなか切り替われませんでした。

でもこれって確かに現実でもよくある話で、何かひとつその道を目指してエキスパートたちの集団に属していると、どうしても上にいられるのは才能のあるひと握りだったりしますが、一度そこから離れてみると自分では駄目だと思っていた能力も、その道を全く知らない素人からしたらすごいことだったりしますし。レベルの高いところで頑張っていると、いかにそれがすごいことなのか、本人は気づいてなかったりするんですよね。そこが妙にリアルだった(2回目)

 

・さらに妙にリアルだった(3回目)のは悪役の設定ですね。これは上記のミニオンズでも少し触れましたが、1作目2作目の敵には特に重い設定がなかったのに、今回はなかなか重いしリアルっつーか元ネタが明確にある…。ミニオンズのスカーレットもそうでしたが、過去に固執するタイプの悪役は見ていて哀れで痛々しくて、あまり素直にギャグ要員として受け取るのは難しいです。それでもスカーレットの設定は好きだったのですが、正直こちらのブラットはダンスシーンをそんなに頻繁に入れてくるなら、もうちょっと軽い感じにしてくれても良かったかなと思います。

それ以外でも、例えばユニコーン探しのエピソードも「ミニオンとかいう謎生物が普通におる世界やしユニコーンくらいおるやろ」と思っていたら、普通に諦める方向だったのでちょっと驚きました。なんでいきなり現実の厳しさを…。

BGMに関しては、そういうコンセプトだと思っているので特に気にしてないのですが、ミニオンズに続いてなんか急に敵や脇キャラの設定が大人向けになってきた印象で、ここまでいくともしかして、今の子供じゃなくて1作目を見ていた時の子供が少し大人になった辺りの年齢層をターゲットとして想定されているのかもしれないと思い始めてきました。

ただ、ノリは子供向けで変わってないんですよね…う~ん。

 

ミニオンについては上記のミニオンズで、自分はあくまでもグルーの脇役ポジションのミニオンたちが好きなのだと気付いたばかりなのに、まさかの今作完全別行動という…。それを差し引いても今回あまりにもミニオンの活躍シーンがなさすぎて、ちょっとあんまりだったと思います。話もミニオンがいなくても支障のない話ですし、クライマックスでも結局上から降ってきただけでほとんど何もしてない…。今回終盤のいいところは全部ドルーが持っていってしまいました。

しかしだからこそこれだけは声を大にして言いたいのですが、最後のオチはめちゃくちゃ好きです。

なんかもうこれ、最後のオチを見るためだけの映画だった気がする。まさかこうなるとは全く予想してなかった。でも恐らく最後のオチが真のタイトル回収なんですよねきっと。

2作目の時点で、このままグルーは悪よりも正義側の道を選んでいくだろうことはわかるので、そうなるとミニオンの「悪党に従い続ける」設定とも食い違ってくるし、これからどんどん丸くなっていけば、シリーズを続けるのもなかなか厳しいよな~と思っていました。

それが全部解消されてしまったラスト。まだ怪盗グルーシリーズを続けようと思えばこのままできなくもないし、ここですっぱり終わりでも全然問題ないラストで、最高じゃん…と思いました。

ただ私としてはやっぱりグルーと一緒にいるミニオンが好きだったので、ラスト自体は大満足なのですが、これから先の話をあえて見る必要はないかなという気持ちです。まあこのままルパンwithミニオンと、とっつぁんみたいな関係になった兄弟を見るのも面白そうですが。

 

◆総評

今回スピンオフと3作目を一気に書きましたが、どちらも面白いけど正直言うとちょっと物足りないかなというところに落ち着きました。と言うか多分1作目と2作目が面白すぎた。特に終始笑いながら見ていた2と比べると、やっぱり私の中での評価は落ちてしまいます。

ただ面白くないかと言われたら、やっぱり面白いんですよね。ミニオンもそりゃもう今となっては動いてるだけでかわいいし。あれだけミニオンの見分けなんかつくわけないやろ!とぼやいていましたが、ついに私もメインだったケビン、スチュアート、ボブ、メル、あとはギリ出番の多いデイブ、フィルくらいまでなら覚えることができました。

映画の面白さの平均値があるなら、その数値は必ずクリアしているという印象です。

今回3作目だけは、今までのシリーズを全部見たという家族とたまたま一緒に見たのですが、私が特になんとも思わないシーンなどでもゲラゲラ笑っていたので、一応面白さは保障されていると思います。家族と(テンションが)ちょっとずれてるかな…。