花色日記

ゲームや女性向けシチュエーションCDの感想ブログ ネタバレ注意です

怪盗グルーシリーズ 感想その2

思いっきりネタバレ感想なので未視聴の方は注意です。

視聴理由は前回の記事↓ で書いたので割愛。

0086ad.hatenablog.com

 

ミニオンズ スピンオフ

・遂にミニオンたちがメインのスピンオフ映画です。しかしこの映画「ミニオンズ」というタイトルにもかかわらず、「怪盗グルーシリーズを見たことがないけどちょっとミニオンが気になるな~」くらいのミニオン初心者(まさにかつての私)には全くオススメできません。

と言うのも最初にぶっちゃけますが、私この映画を去年地上波で放送していた時リアルタイムで見ようとしたのですが、途中で挫折しています。開始15分で寝てしまいました。

 

・なぜなのか?という点をいくつか挙げますと、まずスピンオフまできても、やっぱりミニオンが何者なのかよくわからないというところです。一応、最初に軽くこれまでのミニオンの歴史みたいなのは語られますが、そもそもミニオンが動いているところを見るのすら初めての人間にとってはミニオンたちは太古の昔から地球上に存在していた…?うーんなんのこっちゃ」と、いきなりすごく物語に入りづらい。

さらにミニオンたちが終始ミニオン語で喋るのも、初心者には視聴が厳しい要因だと思います。今までのシリーズを追っていると、ある程度何喋ってるのかがわかってくるのですが、何喋ってるかわからない場合はサイレントムービーを観るときのような頭の使い方をしなければならないので、これがなかなかしんどい。かる~く観たかっただけなのに変に頭を使わされる。

 

・というわけで初心者にはあまりオススメできないのなら、じゃあ今までのシリーズファンは楽しめるのかというと、私自身はそれほど楽しめませんでした。

確かにミニオンはかわいいです。ただ私の好きなミニオンって、ドジでおバカでお調子者で、食べ物とか娯楽にめちゃくちゃ卑しくて、自分のことしか考えてなくて自分の利益のためなら平気で仲間を貶めるし、自分の保身のためなら平気で仲間を売る畜生…なところだったんです。はたから見ればとんでもない暴言ですが国内外問わず結構子供向けアニメのキャラってそういうタイプ多い気がしますし、私はそういう小さくてかわいいキャラが倫理観の欠片もない行動をとるのがギャップを感じで好きなんですよね。

それが今回はメインの3人中ケビンとボブが2人とも比較的仲間思いのいい子で、ミニオンの中でもかなり善良寄りの性格だったのが物足りなさの原因でした。違う…私の求めてるミニオンはこんな自分の身をていして仲間を助けるようなやつらじゃない…というわけで私はスチュアートが一番好きです。

とは言っても、やっぱり映画のクライマックスではそりゃそういうシーンを作らないと駄目でしょうし、いくらミニオンでも主人公ポジションなのに盛り上がってる場面で平気で仲間見捨てて逃げたら流石にえぇ…(ドン引き)となるでしょうし、やっぱり私はあくまでもグルーの脇役ポジションでしっちゃかめっちゃかしてるミニオンたちが好きなんでしょうね。

そういえば、グルーは結構大人になってからミニオンたちに出会ったのだと勝手に思っていたので、そりゃもうあんな性格ではさぞ鬱屈とした子供時代を独りむなしく送ったのだろうと思っていたら、今回ミニオンたちとは子供時代からの付き合いであることが発覚し、そこは素直にほっとしました。よかったね!

 

・あとミニオンの描写に関しての不満がもうひとつだけ。私がミニオンについて非常にいいなと評価している点は「個の能力は低いけれど、いざ一つの目的に向かいまとまったときには統制のとれた群の強さを発揮する」ところです。例えば1作目のクライマックスでグルーとマーゴが落下するシーンで、咄嗟にミニオンたちが数珠繋ぎになって助けるわけですが、そういうベタだけど普段一人では弱いのにいざって時に数と連帯感でピンチを切り抜けるシーンってすごくわくわくして好きなんですよね。

でも今回はそういうシーンがほとんどなかった。メインを3人に絞ってるから仕方ないし、実際それは映画としても正しかったと思うのですが、最後にみんな一気に登場したんだから、ちょっとくらいはミニオンの群としての見せ場をなんとか用意できなかったんだろうか…。結局巨大化したケビンが一人で全て解決してしまったので拍子抜けしました。お前らなんのために出てきたんや…。

あとミニオンって不死身な存在だと思っているので、彼らのピンチな場面でも特に盛り上がれなかったんですけど、まあさすがにいい大人がそういうところにツッコむのは、やぼな気がします。

 

・そして前回の記事で絶賛していた、ターゲット層を子供・大衆へとしっかり定めて作られていた点が、なぜか今回ぶれぶれになっていてそれも残念でした。ミニオンがひたすらわーわーするノリはかなり子供向けなのに、何故か過剰なイギリスいじりとか、これ大人どころか結構なおっさんおばさんにしかわからんよなみたいなネタを突っ込んでくる。これは子供だけじゃなく、一緒に見る両親も楽しめるようにみたいな配慮ですかね?かつての妖怪ウォッチのアニメ的な。私はあまりそういうのは求めていませんでした。

でもこれは子供には少し難しいと思うのですが、今回の敵であるスカーレットの設定に関しては非常に好きです。なんていうか、今まで1作目も2作目も敵側にあまり深い過去はないって感じでしたが、スカーレットはかなりリアルなところを突いてきたな~って思います。だって悪党達の頂点に君臨して、強さも地位も金も名声も美貌も恋人も持っていて、もう十分すぎるくらい成功しているのですが、本人は貧乏でいじめられていた幼い頃に夢見た王女の王冠にずっと執着してるわけです。病的なまでに。

見てて普通に切ないです。最後のほうなんて、ぼろぼろなのにもはや意地だけで動いていて、もういいよもうやめなよって感じ。人間の際限のない欲深さと一言で切り捨てるには、全てを手に入れても彼女の過去のトラウマが全く癒えていないところがあまりにも哀れですし、私にだってまあそういった自分にとってこれさえあれば幸せになれるんだと執着するものがないわけではないです。

あとこれちょっと書くか悩みましたが、吹き替えの天海祐希さんの演技が凄まじかった。めちゃくちゃ申し訳ないのですが、吹き替えのグルーとルーシーに関しては中の人自身は好きでもやっぱりアニメ的な演技に関しては…正直厳しい…と思いながら視聴していたのですが、今回そういうのが本当に一切なかった。元宝塚女優のガチ悪役演技はやっぱり素晴らしかったです。

 


 

怪盗グルーのミニオン大脱走 3作目

・怪盗グルーシリーズ3作目です。まず前回の記事でグルーとルーシーに関しては、恋愛だけではなく家族という存在になるところまで持っていったところが好きだったのですが、反面そんな若い女性がいきなり三児の母になっていろいろ大丈夫なんだろうか…という懸念は正直ありました。

そこがだいぶ描写されていた3作目だったと思います。ルーシータイプ(陽キャ)とマーゴタイプ(陰キャ)の組み合わせは、まあそりゃ最初はそんな関係になるだろうなというところから、ちゃんと信頼関係を築くところまで描かれていました。 リアルでもマーゴみたいなタイプの人って、あまり自分と合わないな~好ましくないな~と思っていた人が自分にはできないことをあっさりやってのけたり、自分のピンチを助けてくれたりすると、今までの感情が嘘のように一気に落ちるタイプだよな~と勝手に思ってます。高速手のひら返し。そこが妙にリアルだった。

 

・グルーについては1の時との印象が大幅に変わりました。もちろん、これはグルーの成長ストーリーなので、性格的に丸くなったとか、より父親らしくなったとかは絶対あるのですが、私が気になったのはそこよりも悪党の才能に関してです。

1を視聴した時点では、グルーって悪党の中でもあまり才能がなく、自分より若い年下に出し抜かれ、うだつの上がらない日々を過ごす落ちこぼれという印象でした。だからこそ、1で月泥棒に成功したのは見ていて気持ちが良かったですし、三姉妹の存在によって失敗続きの落ちこぼれから、肉体的にも精神的にも強くなったところが強調されていて良かったと思います。

しかし今回悪党について全くド素人のドルーが出てきたおかげで、相対的にグルーの悪党の才能株が上がる上がる。父親の設定が出てきたことから、なんと由緒正しい悪党の血筋だったことも判明。ジャンプの主人公かな?

その辺りのとんでも後付設定のオンパレードは、まあ主人公にはある程度の才能は必要やし…と割り切ろうとしても、1の頃の印象からなかなか切り替われませんでした。

でもこれって確かに現実でもよくある話で、何かひとつその道を目指してエキスパートたちの集団に属していると、どうしても上にいられるのは才能のあるひと握りだったりしますが、一度そこから離れてみると自分では駄目だと思っていた能力も、その道を全く知らない素人からしたらすごいことだったりしますし。レベルの高いところで頑張っていると、いかにそれがすごいことなのか、本人は気づいてなかったりするんですよね。そこが妙にリアルだった(2回目)

 

・さらに妙にリアルだった(3回目)のは悪役の設定ですね。これは上記のミニオンズでも少し触れましたが、1作目2作目の敵には特に重い設定がなかったのに、今回はなかなか重いしリアルっつーか元ネタが明確にある…。ミニオンズのスカーレットもそうでしたが、過去に固執するタイプの悪役は見ていて哀れで痛々しくて、あまり素直にギャグ要員として受け取るのは難しいです。それでもスカーレットの設定は好きだったのですが、正直こちらのブラットはダンスシーンをそんなに頻繁に入れてくるなら、もうちょっと軽い感じにしてくれても良かったかなと思います。

それ以外でも、例えばユニコーン探しのエピソードも「ミニオンとかいう謎生物が普通におる世界やしユニコーンくらいおるやろ」と思っていたら、普通に諦める方向だったのでちょっと驚きました。なんでいきなり現実の厳しさを…。

BGMに関しては、そういうコンセプトだと思っているので特に気にしてないのですが、ミニオンズに続いてなんか急に敵や脇キャラの設定が大人向けになってきた印象で、ここまでいくともしかして、今の子供じゃなくて1作目を見ていた時の子供が少し大人になった辺りの年齢層をターゲットとして想定されているのかもしれないと思い始めてきました。

ただ、ノリは子供向けで変わってないんですよね…う~ん。

 

ミニオンについては上記のミニオンズで、自分はあくまでもグルーの脇役ポジションのミニオンたちが好きなのだと気付いたばかりなのに、まさかの今作完全別行動という…。それを差し引いても今回あまりにもミニオンの活躍シーンがなさすぎて、ちょっとあんまりだったと思います。話もミニオンがいなくても支障のない話ですし、クライマックスでも結局上から降ってきただけでほとんど何もしてない…。今回終盤のいいところは全部ドルーが持っていってしまいました。

しかしだからこそこれだけは声を大にして言いたいのですが、最後のオチはめちゃくちゃ好きです。

なんかもうこれ、最後のオチを見るためだけの映画だった気がする。まさかこうなるとは全く予想してなかった。でも恐らく最後のオチが真のタイトル回収なんですよねきっと。

2作目の時点で、このままグルーは悪よりも正義側の道を選んでいくだろうことはわかるので、そうなるとミニオンの「悪党に従い続ける」設定とも食い違ってくるし、これからどんどん丸くなっていけば、シリーズを続けるのもなかなか厳しいよな~と思っていました。

それが全部解消されてしまったラスト。まだ怪盗グルーシリーズを続けようと思えばこのままできなくもないし、ここですっぱり終わりでも全然問題ないラストで、最高じゃん…と思いました。

ただ私としてはやっぱりグルーと一緒にいるミニオンが好きだったので、ラスト自体は大満足なのですが、これから先の話をあえて見る必要はないかなという気持ちです。まあこのままルパンwithミニオンと、とっつぁんみたいな関係になった兄弟を見るのも面白そうですが。

 

◆総評

今回スピンオフと3作目を一気に書きましたが、どちらも面白いけど正直言うとちょっと物足りないかなというところに落ち着きました。と言うか多分1作目と2作目が面白すぎた。特に終始笑いながら見ていた2と比べると、やっぱり私の中での評価は落ちてしまいます。

ただ面白くないかと言われたら、やっぱり面白いんですよね。ミニオンもそりゃもう今となっては動いてるだけでかわいいし。あれだけミニオンの見分けなんかつくわけないやろ!とぼやいていましたが、ついに私もメインだったケビン、スチュアート、ボブ、メル、あとはギリ出番の多いデイブ、フィルくらいまでなら覚えることができました。

映画の面白さの平均値があるなら、その数値は必ずクリアしているという印象です。

今回3作目だけは、今までのシリーズを全部見たという家族とたまたま一緒に見たのですが、私が特になんとも思わないシーンなどでもゲラゲラ笑っていたので、一応面白さは保障されていると思います。家族と(テンションが)ちょっとずれてるかな…。